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【世界のGX実例5選】業界別に見る脱炭素と自然共生の最前線

  • pakiraadtime
  • 7月7日
  • 読了時間: 4分
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脱炭素社会の実現に向けて、GX(グリーントランスフォーメーション)は世界中で注目されています。単なる二酸化炭素の削減にとどまらず、自然と共生する形での炭素吸収や資源循環の構築が求められています。本記事では、GHG(温室効果ガス)排出量の多い上位5業界(エネルギー、製造業、鉄鋼・セメント、農業・土地利用、輸送)において、実際に導入されているGXの最新事例と、それぞれの業界に最適なアプローチをご紹介します。


<エネルギー業界>

ノルウェー「Heidelberg Materials」のCCS導入

ノルウェーのセメント工場では、Heidelberg Materials社がCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術を導入。煙突から排出されるCO₂を直接回収し、液化したうえでパイプラインを通じて北海の地中深くへと送り込み、長期的に隔離しています。この施設では、年間40万トンものCO₂が回収可能とされ、セメント産業における画期的な脱炭素モデルと評価されています。



森林保全と再植林

「Nature4Climate」などの国際プログラムでは、伐採地の再植林や森林の保全活動が行われており、企業がこれらの活動へ投資することでカーボンクレジットを取得し、自社の排出と相殺する仕組みが浸透しています。


<製造業>

スイス「Climeworks」とアイスランド「Carbfix」のDAC技術

スイスのClimeworks社は、空気中からCO₂を直接吸収する技術(DAC)を開発。アイスランドに設置された「Orca」プラントでは、吸収したCO₂をCarbfix社の技術で地中の玄武岩に注入し、わずか2年ほどで鉱石へと変化させ、半永久的に固定することが可能です。このプロジェクトは年間4,000トン規模のCO₂除去能力を持ち、今後のスケールアップにも期待されています。



強化風化(Enhanced Weathering)

アメリカでは、農地に微粉砕した玄武岩などの鉱物を撒き、土壌内での化学反応を利用してCO₂を吸収・固定する「強化風化」技術が実験中です。これにより、農作物の収穫量が向上しつつ、1ヘクタールあたり10〜20トンのCO₂を固定できると見積もられています。


<鉄鋼・セメント業界>

スウェーデン「HYBRIT」プロジェクト

スウェーデンで進められているHYBRITプロジェクトでは、鉄鋼製造プロセスで従来使用していた石炭を水素に置き換えることで、排出されるCO₂を大幅に削減。試験生産ではCO₂排出ゼロの"グリーンスチール"が実現されVolvoやSSABなどが既に量産計画を進めています。



土地保全とグリーンインフラ

鉱山跡地に緑地を造成し、土壌の炭素固定能力を高めるグリーンインフラ整備が行われています。これにより、周辺の気温調整や微生物多様性の回復も期待されており、工場周辺における自然との共生が進められています。


<農業・土地利用>

インド「Mati Carbon」の強化風化農法

Mati Carbon社は、農地に粉砕した玄武岩を撒くことで、土壌の炭素吸収を促進。さらに、作物の収量が平均30〜70%向上するという相乗効果も確認されています。この取り組みにより、炭素クレジットの生成と農家の収益向上を両立させ、2024年にはXPrize(炭素除去分野)を受賞しました。



アグロフォレストリーとピートランド復元

農地に果樹や森林を混在させるアグロフォレストリーは、炭素吸収と生態系保全を同時に実現可能です。また、かつて干拓された泥炭地を再湿地化することで、メタンやCO₂の排出を抑えつつ、湿地固有の生態系回復にもつながります。


<輸送・物流>

Maersk社のバイオ燃料導入と航路最適化

世界最大級の海運会社Maerskは、脱炭素戦略の一環としてバイオ燃料やグリーンメタノールを使用した新型船舶を導入。さらに、AIとIoTを活用して航路と積載効率を最適化し、CO₂排出量の最大20%削減を実現しています。これにより顧客への環境対応物流の提供も可能に。



都市のグリーンインフラ

輸送起点となる都市部では、街路樹や屋上緑化、透水性舗装などを用いたグリーン・インフラ整備が進行中。これによりヒートアイランド効果の抑制やCO₂の土壌吸収が期待されており、物流と都市環境の調和が図られています。



各業界ごとにGXのアプローチは異なりますが、共通するのは「技術革新+自然との共生」です。脱炭素は企業のコストと捉えるのではなく、むしろ「収益向上」や「社会的信頼」の獲得につながる戦略と捉えるべきです。今後、GXが本格的に進展する中で、これらの実例が次世代の企業活動のスタンダードとなるでしょう。



 
 
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